ある製品が、企業の製品ミックスの一部を占める場合、製品ミックス全体の利益を最大化すべく、その製品の価格を設定する。これを「製品ミックスによる価格戦略」という。
キャノンは製品ミックスを利用して消耗品戦略という戦略のもとに高収益を実現している。
周知のとおり、かつてキャノンは、カメラ事業を主力としていた。しかし、カメラをいくら販売しても、利益をあげるのはフィルムメーカーであることをキャノンは身をもって経験した。
キャノンはこの教訓を活かし、事業戦略の再編を実行した。そのひとつがコピー機やプリンタに見られる消耗品戦略だ。つまり、コピー機やプリンター本体の価格は比較的廉価に設定しておく。そして、いったん顧客を囲い込んだら、消耗品として必要となる自社専用のトナーカートリッジやインクで継続的に利益を稼ごうという戦略だ。
先のカメラ事業の例でいうとコピー機やプリンターがカメラで、トナーカートリッジやインクはフィルムというわけだ。
こうした戦略の転換が的中し、現在のキャノンの高収益を支える一端となっている。